ラムサール条約登録湿地「宍道湖」
更新日:2012.07.03
宍道湖 ~島根の自然と風景の象徴~
宍道湖(しんじこ)は、松江市と出雲市とにまたがる全国で7番目に広い汽水湖です。有数の水鳥の飛来地であり、マガン、カモ類など数万羽が飛来します。また、それらの水鳥の餌となるスズキやシジミなど多くの魚介類が生息し、湖岸にはヨシが生育しています。さらに、釣りや散歩などのレクリエーションの場としても親しまれ、島根の自然や風景を代表する湖として愛されています。
ラムサール条約と宍道湖
このように宍道湖は、豊かな自然をもち、またそこに生息する豊富な魚介類が私たちの生活を支えており、欠かすことができない生態系のひとつです。
しかし、一方で、生活排水などによる水質の悪化や、制限のない漁業による水生物の減少、周辺の開発など、環境破壊のおそれがあることも事実です。
そこで、水鳥をはじめとした生き物にとって大切な生息環境である宍道湖が壊れてしまわないように、世界中の国が協力して保全することを目的に、宍道湖は2005(平成17)年にラムサール条約(注1)に登録されました。同じようにラムサール条約に登録されている場所は全国で37か所になります。(2012年6月時点)
注1
ラムサール条約の正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」と言います。ラムサールとは、この条約が結ばれたイランの町の名前です。ラムサール条約では、干潟や湿原をはじめ、河川や湖、サンゴ礁や海(水深6メートルを越えない部分)も湿地と定義されています。
宍道湖の保全と利用(ワイズ・ユース)
ラムサール条約では、湿地を守ることと、これからも湿地を利用できるように壊さず使っていくこと(これを「賢明な利用」または「ワイズ・ユース」と言います)を目指しています。
例えば、昔から行われてきたシジミ漁では、シジミを獲る量や時間を決め、また子どものシジミは獲らないようにして、シジミを獲りすぎない工夫をしてきました。この努力によって私たちは美味しいシジミをずっと食べ続けることができており、ワイズ・ユースの代表的な例です。
その他にも、宍道湖の自然を守りつつ将来も利用して行けるよう、様々な主体によって以下の取組が行われています。
◎ワイズ・ユースの取組例1 ~ヨシ植え~(平成24年度まで実施)
コンクリート護岸化などによって減少したヨシ(河川の下流や干潟に育ち、汚れた水をきれいにしたり生き物たちのすみかになったりと重要な役割をもつ)を植えて、水質環境の回復をしています。
※平成25年度からは、宍道湖水環境改善協議会を中心に「ヨシの刈取事業」を行っています。刈り取ったヨシは、「草抑え」や「厩舎の壁材」などに利用しています。
◎ワイズ・ユースの取組例2 ~環境学習~
宍道湖での生き物調査や水質調査を行うことで、宍道湖の環境を守っていくことへの関心を高めます。
また、宍道湖に生息する生き物や野鳥の展示・観察ができる施設もあり、実際に生き物を見ながら分りやすく学習することができます。
◎ワイズ・ユースの取組例3 ~清掃活動~
6月の環境月間にあわせて市民によっておこなわれる宍道湖一斉清掃は、宍道湖の自然環境を守る大切な活動です。
他にもどんなワイズ・ユースがあるか家族で調べたり参加したりしてみると、宍道湖への理解が一層深まると思います。
未来に誇れる宍道湖を残していくために、できることに取組んでみましょう。